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[Road to Iabc 3/5] 交易都市リューン - 優先順位と配布率 2

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 > 目次

 ◆ 補足:「シナリオクリア型」経験点の配布
 ◆ ゲームデザイン上の技能カードの役割
 ◆ CardWirthと技能カード
 ◆ 技能カードが少ない理由
 ◆ 技能カードの取捨選択
 ◆ 与ダメージ設定に関する雑談
 ◆ 技能カードと優先順位
 ◆ 「存在しないレベル帯」と、その答え
 ◆ 第3章の終わり「誰にとっての優先順位なのか」

 > 以下本文

[Road to Iabc 3/5] 交易都市リューン - 優先順位と配布率 2


 ◆ 補足:「シナリオクリア型」経験点の配布

 前章で誤解を与える説明の仕方になったと思われる「シナリオクリア型」の
 経験点の配布について、少し補足しておく。



 CardWirthが「シナリオクリア型」を採用した理由は、おそらく次の順序だ。

 ・たくさんのシナリオを遊んでほしい
 ・ならば、たくさんのシナリオをクリアすることでプレイヤーが得をするルールにすればいい
 ・RPGにおける大きな得、ボーナスといえば、レベルアップに必要な”経験点”がある
 ・ならばシナリオをクリアできた時にのみ、経験点を渡すルールにすれば良い
 ・そうすればプレイヤーはレベルアップを目標に、たくさんのシナリオを遊ぼうとするはずだ

 何も不要な戦闘を避けてほしいから採用したわけではないだろう。
 本稿は”技能レベル”とは何か。振り分ける目安は何であるのかを探り当てるために、
 目の前にある結果から逆算して、隠されたコンセプトを見つけ出すという形式を取っているため、
 結果ありきで筆者のバイアスがかかった説明になっていたのは申し訳ない。

 こうしたゲームルールが設定されると、プレイヤーというのはそれに対して
 ”行動が最適化されていく”ものだ。

 それがすなわち、ゲームの攻略法である。

 ※ ゲームを遊ぶ上でのプレイヤーのアプローチの仕方は、主に2種類に分けられる。
   ひとつはシステムに対して効果的であると思われる行動を取ること。
   これが最適化、もしくは効率化だ。
   もうひとつは効率を無視して我を通すこと。こちらはロマン主義とでも言えばいいのだろうか。
   「剣と魔法のファンタジー? なら俺は拳で戦うぜ!」というものである。
   たいていのプレイヤーは、この二つの方法を行ったり来たりしながら遊ぶのではないかと思う。
   ちなみに、まれに非効率なはずのロマン主義的なプレイスタイルが、
   新たな効率的攻略法を生み出す場合もある。

 「シナリオクリア型」におけるプレイヤーの基本的な行動指針である
 ”不要な戦闘は避ける”というのは、ゲームデザインの結果に生まれる攻略法であって、
 ゲームデザインそのものではない。

 話の流れに任せて、ゲームデザインと攻略法をごちゃ混ぜにして書いたのは
 まずかったと思うので、補足した次第である。

 ※ CardWirthのゲームデザインの根幹にあるのは
   ”プレイヤーに「たくさんのシナリオを遊びたい」と思わせるには、どうすればいいか”だ。
   CardWithのほぼ全てのシステムは、ここから生まれた枝葉にすぎない。

 ともあれ、このシステムに最適化したプレイヤーが不必要な戦闘を避け、戦闘回数を最小限に
 抑えようとするプレイスタイルになっていくのは事実なので、このまま先に進めようか。

 ※ 余談だが「シナリオクリア型」の最大の難点は、シナリオ中にプレイヤーキャラクターの
   レベルを上げられないことだ。
   俗にいう「レベルを上げて物理で殴る」と揶揄される攻略法が使えない。
   戦闘バランスの調整に失敗すると、ゲーム進行が完全に”詰む”。
   CardWirthの場合は、ユーティリティやエディターで設定をいじれば回避できるため、
   これが深刻な問題に発展するケースはない。


 ◆ ゲームデザイン上の技能カードの役割

 まずは念のため、ゲームデザイン上のスキルカードの役割について前置きしておこう。

 CardWirthにおけるスキルカードの存在もまた、プレイヤーに「たくさんのシナリオを遊ぼう」
 と思わせるためのギミック、あるいはボーナスである。

 スキルカードの能力は、通常の冒険者のアクションでは再現不能な特殊な効果を持つ。
 敵を眠らせたり([眠りの雲]のこと)、アンデッドを祓ったり([亡者退散]のこと)、
 ファイアボールが撃てたり([炎の玉]のこと)するわけだ。

 持っていればゲームを有利に進行できるであろうこれらのカードを、プレイヤーは当然ほしがる。
 しかし、お金が足りなければ、シナリオをクリアしてお金を稼がなければならない。
 冒険者レベルが足りないのなら、シナリオをクリアして経験点を稼ごうとするだろう。

 groupAskが設定したシナリオ一本をクリアした場合の報酬は、だいたい1000spほどだ。
 これはスキルレベル3のスキルカードが1枚買える程度の金額である。

 「交易都市リューン」にあるスキルカードは全32枚。
 全てのカードを手に入れるためには、かなりの本数のシナリオに挑戦する必要があるわけだ。

 ※ リューンスキルを各1枚ずつ購入するならば、32枚で合計44,000spが必要になる。
   シナリオ一本で1000spを入手するという事は、計44本のシナリオをクリアしなければならない。
   実際にはシナリオ毎に報酬額は上下するし、シナリオクリアにはコスト(必要経費)もかかる。
   また、キャラ作成時の所持金もあるため、こうも単純な計算になるわけではないが。

 スキルカードとは、シナリオをクリアしたプレイヤーに対するボーナスであり、
 新しいシナリオに挑戦するための大事なモチベーションでもあるのだ。

 ところがこのスキルカード。CardWirthの「カードバトル」システムに実装するには、
 一筋縄ではいかない問題が立ち上がってくる。


 ◆ CardWirthと技能カード

 まずは前回のおさらいをしておこう。前回に上げた疑問は3つあった。

 ・なぜスキルカードは一定の強さを持っていなければならないのか
 ・なぜスキルカードの中で優先順位を決めなければならないのか
 ・優先順位とは何を指針に決めているのか

 そしてこの疑問に答えるには、CardWirthが持つ「カードバトル」システムについて
 理解する必要があるという話をした。思い出してもらえただろうか。

 CardWirthが「カードバトル」を採用した理由は、シンプルなものだったと思う。

 プログラムの練習にRPGを作ろうと思った。
 カードをモチーフにしようと考えた。
 ならばバトルシステムも「カードバトル」が良いだろう。
 そうした、ごく自然な連鎖的な発想だったのではないだろうか。

  ※ カードをモチーフにした一番の理由は、グラフィックが少なくて済むからだろう。
    一般的なRPGでいうところの「歩行グラフィック」や「巨大ボスの立ち絵」に比べれば、
    一枚の小さな絵だけでもキャラとして成立させられる「カード」というのは低コストだ。
    それは、つまり”プレイヤーが製作者側に回りやすい”という事でもある。

 実際の時系列などは本人たちに聞いてみないとわからない。
 最初に「カードバトル」のアイデアがあったのかもしれないが、そう難しい事を考えて
 採用したわけではないように思う。

 それはともかく、CardWirthの「カードバトル」には、おもしろい特徴がある。

 CardWirthには、可能な限り数値をプレイヤーに見せないというコンセプトがある。
 それゆえ、一般的なRPGにある「ステータス画面」というものがない。

 STR(ストレングス, 力)がいくつ、INT(インテリジェンス, 知力)がいくつという、あの画面だ。

 ではこのコンセプトにおいて、キャラクターの強さをどうやってプレイヤーに伝えるのか。
 例えば、冒険者レベル1と冒険者レベル5と冒険者レベル9の違いを、どう表現するのか。

 その答えは「手札テーブル」にある。

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 冒険者レベルが上がると「手札テーブル」のカード枚数が増えるのだ。

 冒険者レベル1 → 手札は4枚。
 冒険者レベル3 → 手札は5枚。
 冒険者レベル5 → 手札は6枚。
 冒険者レベル7 → 手札は7枚。
 冒険者レベル9 → 手札は8枚。

 CardWirthにおいて”強い”とは、すなわち”より多くの選択肢を持つ”という意味なのだ。

 この選択肢の幅、あるいはレンジ(範囲)の広さで強さを表現するというのはおもしろい。
 手札の枚数が少ない内は、現在のターンを凌ぐことで手一杯であるが、
 枚数が増えてくると先のターンを見すえた上で、今どう行動するかという”戦術”が生まれる。

 ”戦術的に行動がとれる”

 それがCardWirthにおける強さの証なのだ。
 なにより視覚的に一発で違いがわかる点においても、優れたアイデアといえるだろう。

  ※ 手札テーブルのカード枚数も、結局の所は「数字」ではないのかといわれれば、
    その通りなのだが。

 ところが、この「カードバトル」には一つ問題がある。

 ”たくさんの技能カードをさばき切ることができない”のだ。


 ◆ 技能カードが少ない理由

 「交易都市リューン」を初めてプレイした際に、こう思ったことはないだろうか。

 「スキルカードが少ない!」

 これが顕著に表れるのが、戦士(ファイター)と盗賊(シーフ)のスキルだ。
 ここでは「適正」を基準にスキルを分けてみよう。

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 筋力(STR)が要求される「パワーファイター」のスキルは3枚。
 敏捷(AGI)が要求される「スピードファイター」のスキルは2枚。
 精神力(POW)が要求される「スピリットファイター」のスキルは4枚。
 器用(DEX)が要求される「シーフ」のスキルは4枚。

 これだけしかスキルがない。

  ※ 精神力(POW)が要求されるスキルは他に司祭(プリースト)と精霊術師(エレメンタラー)が
    あるため、実際の選択肢はもっと多い。ここではわかりやすく考えるために
    ”職業(ジョブ)”でスキルカードを分けている。

  ※ 精霊術師(エレメンタラー)のスキルは5枚あるのだが、全てスキルレベル7のカードで
    特殊なコンセプトを持つため除外している。

 比較的スキルの多い魔術師(メイジ)と司祭(プリースト)でも、それぞれ9枚しかない。

 知力(INT)が要求される「メイジ」のスキルは9枚。
 精神力(POW)が要求される「プリースト」のスキルは9枚。

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 これがどれだけ少ないのか、他のRPGを例に上げてみよう。

 ・「ドラゴンクエスト3(ファミコン版)」の魔法使いの呪文が31種、僧侶の呪文は23種。
 ・「Wizardry #1(ファミコン版)」の魔法使いの呪文が21種、僧侶の呪文は29種。
 ・「ソードワールド(旧版, TRPG)」のソーサラーの呪文が37種、プリーストの呪文は20種。
 ・「D&D Game Rules Cyclopedia(AD&D, TRPG)」の魔法使いの呪文が64種、
   僧侶の呪文は32種。

 CardWirthの”多くても9枚”というのが、いかに少ないかわかってもらえるだろうか。
 なぜこんなに少ないのかといえば、冒険者が所持できるスキルカードの枠が少ないからだ。

 冒険者レベル1 → 所持できるスキルカードの上限は3枚。
 冒険者レベル3 → 所持できるスキルカードの上限は4枚。
 冒険者レベル5 → 所持できるスキルカードの上限は5枚。
 冒険者レベル7 → 所持できるスキルカードの上限は6枚。
 冒険者レベル9 → 所持できるスキルカードの上限は7枚。

 手札テーブルのアクションカードと、スキルカードの所持上限を表にすると次のようになる。

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 アクションカードの枚数から-1にした数がスキルカードの所持上限枚数になっている。
 冒険者レベルの最大値であるレベル10でも、スキルカードは7枚しか持てない。

 魔術師(メイジ)と司祭(プリースト)のスキルカードは各9枚なのだから、
 一人では全てのスキルカードは持てないのだ。

  ※ 特殊な型である凡庸型と英雄型はMaxレベル12、神仙型はMaxレベル15なのだが、
    これらは隠しキャラ扱いのため例外とする。
    ちなみに、冒険者レベル13でスキルカードの所持上限が9枚になる。

 では、なぜ冒険者のスキルカード所持上限はこんなにも少ないのか。
 その答えはCardWirthの「カードバトル」にある。

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 CardWirthの「カードバトル」は、冒険者レベル9でも手札カードの数は8枚しかない。

 仮に冒険者のスキルカード所持上限が20枚だったとして、その中の”今、ほしい1枚”が
 手札テーブルに回ってくるのは、いったい何ターン目になるのか。

 冒険者レベル9であっても「カード交換」を行なって引き当てられるスキルカードは
 (感覚的には)、せいぜい2枚か3枚程度だ。むろん1枚も引けない時もある。
 CardWirthのプレイヤーであれば、スキルカードは所持上限数いっぱいに持っていれば良い
 という単純なものではない事を経験則で知っているはずだ。

 これは個人的な印象になるが、スキルカードは4枚、ないし5枚辺りが比較的必要な
 スキルカードが回ってきやすく、ある程度は「キーコード」もフォローができるバランスである
 ように思う。

  ※ これは、同じスキルカードは1枚しか持たせなかった場合の話だ。
    例えば[癒身の法]を2枚持たせた場合などは、また印象が違ってくる。

  ※ 魔術師(メイジ)と司祭(プリースト)に関しては、4枚では「キーコード」のフォローが難しい。
    かといって5枚以上持たせると、ほしいスキルカードが回って来づらい印象がある。

 「交易都市リューン」の「闘気術」や「盗賊スキル」が4枚というのは、
 ここから設計されたのではないかと思っている。
 もっとも、これは想像にすぎない。根拠はないが経験上そう思うという雑感である。

  ※ CardWirthのプレイヤーがシナリオをプレイする際の一番の目的は、極端にいえば
    ”イベントが見たい”だろう。そのため、所持スキルも幅広い「キーコード」を
    フォローしておきたいという欲求がある。
    つまり、かといって所持スキルが少なければ良いというものでもない。

  ※ ちなみに手札テーブルは、冒険者レベル15でカード数は11枚になり、それ以上は増えない。
    手札テーブルは499*228ピクセルのテーブル上に、80*110ピクセルのカードを並べる
    デザインになっている。11枚でデザイン上の限界が来るわけだ(ウインドウを
    スクロールさせれば可能だが、操作性は悪くなる)。最大枚数11枚。
    ここから逆算して、各レベル帯のアクションカード枚数を決めたのかもしれない。

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 CardWirthの「カードバトル」は”たくさんの技能カードをさばき切ることができない”。
 この意味がわかってもらえただろうか。

 これが「コマンドバトル」であれば、(MPが残っていれば)即座にスキルを選択できる。
 ところが「カードバトル」では”手札テーブルにカードが回ってこない限り、
 そのスキルを選択できない”。そして、いつスキルが回ってくるかは運が絡む。

 つまり「コマンドバトルRPG」の常識を、そのまま「カードバトルRPG」に持ち込むことができない。
 強引に持ち込んだ場合は、プレイアビリティが著しく落ちる。遊び辛いのだ。

 この結果、冒険者の所持スキル上限が設定され、「交易都市リューン」のスキルカードも
 厳選して、数を少なく抑える必要があったわけだ。

 厳選、つまりスキルカードの取捨選択なのだが、これは相当に迷ったのではないかと思われる。
 groupAskがプレイヤーに提供しているカード素材集「CardImage」には、没スキルを思わせる
 スキルカード用の画像がいくつも存在する。

 また「交易都市リューン」のフォルダ内のWidファイルも「Skill73.wid」から始まって、
 「Skill113.wid」まである。少なく見積もっても、1から72までの没スキルがあったのだと
 考えられる。

 CardWirthはいわゆる「剣と魔法のファンタジー」というワールド設定(世界観)である。
 プレイヤーは当然、他のRPGでよく見るような技や呪文を使いたいだろう。
 ならば、それらを用意したい。
 しかしCardWirthの「カードバトル」は、多くのスキルカードをさばき切れない。
 スキルカードの総数は絞り込む必要がある。
 では、”何を残して、何を削れば良い”のだろうか。


 ◆ 技能カードの取捨選択

 「交易都市リューン」はスキルカードの選別を行なうにあたって、ある方針を立てている。
 厳格なルールではないのだが、傾向としてはっきり見られる。それは次の方針だ。

 ”効果が重複するスキルカードは捨てる。
  残るスキルカードは、それぞれ代替の効かない固有の効果を持つこと”

 上位互換や下位互換にあたるスキルカードは捨てる、といっても良いだろう。

  ※ 若干、例外はある。例えば[錬硬気]と[風精召喚]は、ほぼ同一のカードだ。

 いくつか実例を上げていこう。

 ・スキルレベル1 [癒身の法]

 味方一体のライフを回復する[癒身の法]はあるが、味方全体のライフを回復するスキルはない。
 どちらか一方しか選べないならば、冒険者レベルが低い時期の重要度や汎用性を考えた場合、
 味方全体のライフ回復スキルは不要だろう。

 ・スキルレベル1 [眠りの雲]

 敵全体を眠らせる[眠りの雲]はあるが、敵一体を眠らせるスキルはない。
 「スリープクラウド」は、一般的なRPGでは一定の範囲に効果をもたらす呪文であるため、
 敵一体を眠らせるスキルの方を捨てたのだろう。キーコード「眠り」を持つのは、このカードのみだ。

 個別に上げていくと、ほぼ全てのスキルカードの説明をしなければならないので、
 ここで止めておく。
 ただもう一点、もう少し違った角度から見た場合の例も上げておこう。

 ・スキルレベル1 [魔法の矢]とスキルレベル7 [炎の玉]

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 [炎の玉]は、敵全体に炎属性の魔法攻撃を行なう呪文だ。
 非常に強力な呪文であるが、対属性「炎に耐性を持つ」敵にはまったく効果がない。

 一方、[魔法の矢]は敵一体しか魔法攻撃できない呪文ではあるが、効果属性はないため
 (正確には魔力属性による追加ボーナスはある)オールラウンドに使える呪文だ。

 では、[魔法の矢]があれば[炎の玉]は不要なのかといわれれば、そんなことはない。
 「交易都市リューン」にある呪文で、キーコード「炎による攻撃」を持っているのは、
 [炎の玉]と[火精召喚(サラマンダー)]だけである。

 双方に、それぞれ異なる特色、価値があるのだ。

 ・アンチゴーストスキル [亡者退散] [魔法の矢] [掌破] [居合い斬り] [錬気弾]

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 これらの5枚は、対霊用として使えるスキルカードだ。
 ここではウィスプやゴースト、バンシーなどの「実体を持たない敵」を相手にした場合を想定して
 考えてみる。

 [亡者退散]は敵全体を対象消去する強力な呪文だ。しかしアンデッドにしか効果はない。
 キーコード「神聖な攻撃」を持っている。

 [魔法の矢]は敵一体を魔法攻撃する呪文だ。キーコード「遠距離攻撃」を持っている。
 この2枚のスキルカードは、バッドステータス「沈黙」時には使えない。

 [掌破]と[居合い斬り]は敵一体を攻撃する技だが、呪文のように必ず命中するわけではない。
 しかし、神聖属性による追加ダメージが期待できるし、技であるため「沈黙」時でも使える。
 こちらの2枚の場合、[掌破]はスキルレベル1で(冒険者レベルが低い間は)手札テーブルに
 回ってきやすいが、ダメージの高さでいえば[居合い斬り]に分がある。

 効果だけを見た場合、[掌破]は[居合い斬り]の下位互換ではあるが、
 キーコード「気功法」を持っている。フィールド画面のメニューカードに対して「気功法」で
 キーコード発火できるのは[掌破]と[錬気弾(気弾)]だけなので、まったく同じというわけではない。

 [錬気弾]は召喚獣カード[気弾]を付与できる攻撃スキルだ。戦闘前、つまりフィールド画面時に
 装填しておけるメリットがあるが、[気弾]はどの敵に当たるかはランダムだ。

 対ゴースト用にしぼって考えた場合は、[亡者退散] [魔法の矢] [居合い斬り]の3枚が
 有利なカードといえるが、この3枚のうちどれがベストな1枚かといわれると難しい。
 ”シナリオによる”としか言いようがない。

 「交易都市リューン」のスキルカードは、それぞれ違った強さを持っている。
 特徴もバラバラで、”状況によって有利なスキルカードが変わる”ように作られている。
 この1枚があれば他は不要といった、絶対的な1枚は存在しない。

  ※ とはいえ、[居合い斬り] [癒身の法] [魔法の鎧]など、一部には別格に
    汎用性の高いものはある。

 さて、ここで前回に上げた仮説1を思い出してほしい。

 ★ 仮説1 << 技能カードは、技能レベルに関係なく等しく強い >>

 なぜスキルカードは等しく強くなければならないのか。
 ここに、その答えを提示しよう。

 CardWirthはスキルカードの所持制限から、効果の取捨選択が必要である。
 「カードバトル」システムは、プレイアビリティの観点から所持スキルカード枠を多くは取れない。

 とはいえ「剣と魔法のファンタジーRPG」であるため、プレイヤーが使いたいであろう定番の技や
 呪文はある。そうした技や呪文は、シナリオ製作者にとっても必要なものだ。
 なぜならば、その方がイベントが作りやすくなるためだ。

 シンプルな操作でプレイアビリティを上げること。
 一方で、多彩な効果(キーコード)を持つスキルカードを用意して、シナリオ(イベント)を
 作りやすくすること。相反するコンセプトをギリギリ成立させるための答え。

 上位互換や下位互換にあたるスキルカードは排除する。
 残すべきスキルカードはプレイヤーにとって意味のあるもの、価値のあるものだけにする。

 冒険者には、弱いスキルカードを持たせる余裕などない。
 あらゆるスキルカードは、強くなければならない。

 選別をくぐりり抜け、残ったスキルカードは、それぞれが異なる局面で強さを発揮する
 カードたちである。選択肢こそ少ないが、正解はひとつではない。いわば個性の異なる精鋭だ。

 タイプの異なる、強いスキルカードだけを残した少数精鋭。
 それが「交易都市リューン」にあるスキルカードのコンセプトだ。

  ※ ”等しく強くなければならない”とはいったものの、結果的に強弱がつくことはある。
    例えば、[亡者退散]は[眠りの雲]に比べると使う機会の少ないスキルカードだ。
    ごく一部のシナリオにおいては強いが、多くのシナリオを渡り歩く上では弱いカードである。
    これはCardWirthが「剣と魔法のファンタジー」というワールド設定(世界観)を持っているため、
    アンデッドよりもゴブリンなどと遭遇する割合の方が高いためだ。
    作製されるシナリオは、そのゲームが持つワールド設定(世界観)に引っ張られる傾向がある。
    それゆえ、ここから外れたものは「異色シナリオ」と呼ばれたりするわけだ。
    もしも、CardWirthのワールド設定(世界観)がホラー映画のように多数のアンデッドが徘徊する
    ようなダークファンタジーだったならば、[亡者退散]は強い呪文で、[眠りの雲]は使いどころの
    少ない弱い呪文と評価されていただろう。


 ◆ 与ダメージ設定に関する雑談

 さて、ここでちょっと考察というよりは雑談をしようと思う。
 攻撃スキルカードの「与ダメージ(与えるダメージ)」の数値設定についてだ。

 ”スキルカードは強くなければならない”とは言ったものの、
 どれだけ強くても構わないのかと言えばそうではない。

 これはプレイヤーのプレイスタイル(攻略法)に関わってくる問題だ。

 スキルカードが”強すぎる”場合は何が起きるか。
 この場合、プレイヤーは下手にアクションカードを選択するよりも「カード交換」を繰り返して
 スキルカードを引こうとするだろう。
 戦闘は”ひたすらカード交換を繰り返して、スキルカードを引き当てるゲーム”になる。
 これでは、わざわざ「カードバトル」を採用した意味がない。
 これなら「コマンドバトル」を採用した方が、よほど遊びやすいだろう。

 では逆に、スキルカードが”弱すぎる”場合は何が起きるか。
 この場合は、スキルカードが手札の枠を圧迫するだけの邪魔なカードになる。
 特に冒険者レベルが低く、手札テーブルのカード枠が少ないうちは死活問題になりかねない。

 では”強すぎず、弱すぎない”強さとはどういう数値なのか。
 groupAskは、どういう解答を提示したのか。

 まず、敵一体用の攻撃スキルカードについては「レベル比5」というのが、その答えだろう。

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 細かい計算式は横に置いておくとして、シンプルに考えてみる。
 この場合基準となるのは、おそらくアクションカード「攻撃(レベル比2)」だろう。

 「カード交換」を行なって、2回以内でスキルカードが引けたならば得をする。
 しかし、3回目で引けた場合は損である。

  ※ 実際のスキルカードは命中率の高さや特殊効果などがあるため、
    ここまで単純な話にはならない。これは大雑把に考えた場合の話である。

 とはいえ「カード交換」を2回行なったくらいで、今ほしいスキルカードが引けるか否かは怪しい。
 ここでプレイヤーは迷うだろう。「カード交換」を選択するか、アクションカードを選択するのか。
 この問いに正しい答えは存在しない。しかしプレイヤーは決断しなければならない。

  ※ 「カードバトル」は運に結果を左右されるゲームではあるが、プレイヤーの戦術構築によって
    運を引き寄せるために確率を上げることはできる。例えば[癒身の法]を2枚持たせて、
    より手札に回ってきやすいようにしたりといった具合に。

 正確な回数はわからないが「カード交換」をn回行なった際に得をするか損をするかで、
 スキルカードのバランスを取っているように見える。

  ※ わからないとはいえ、例えば10回なんていう大きな数字ではないだろう。
    おそろく、1回から3回くらいの小さな数字だろうという予想はできる。

 次に、敵全体を攻撃するスキルカードについてだが、
 こちらは”技能レベルの上昇とともに与えるダメージも上がる”という傾向が見られる。

 今までの話と矛盾する事実である。
 しかし、事実であれば無視するわけにはいかない。

 これは想像でしかないが「交易都市リューン」の開発途中では、下位互換や上位互換スキルを
 作る予定があったのだろうと思う。しかし、「カードバトル」の仕様からスキルカードの取捨選択が
 必要になった。その際に、一部で下位互換や上位互換スキルのコンセプトを持ったスキルカードが
 残ったのではないかと考えている。

 もっとも、理由は想像することしかできない。しかし、事実がどうなっているかは記載しておこう。

 まずは、敵全体を攻撃する「物理攻撃スキルカード」について。

 参考となるのは、スキルレベル3の「薙ぎ倒し」とスキルレベル7の「烈梟刃」だ。
 「薙ぎ倒し」は筋力適性で「烈梟刃」は敏捷適性であるため、厳密には別系統のコンセプトを持つ
 スキルカードではあるのだが、ここでは効果のみにスポットを当てて考えてみる。

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 こうした傾向を持つのだと推測できる。
 スキルレベル9に達すると「レベル比5」のダメージになるというのは、
 「交易都市リューン」の数値データを見る限りでは理解できる到達点だろう。

  ※ 後の章で少し触れるが、スキルレベル9のカードは非常に特殊でサンプルも1枚しかない。
    本当に理解できる到達点なのかと問われれば、わからないとしかいいようがない。

 次に敵全体を攻撃する「炎属性の魔法攻撃スキルカード」についてなのだが、
 その前にまずはこちらの画像を見てほしい。

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 この表は、CardWirthのファンサイト「木村屋(※)」に記載されていたデータである。

  ※ いわゆる個人サイトなのだが、何年も前にサイトは消失している。
    非常に価値のあるデータかつ、この話の根拠でもあるため引用させてもらった。
    かなりの量のデータをそのまま転載する形になったのは申し訳なく思う。

  ※ このデータがCardWirth 1.20時代のものなのか、1.28時代のものなのかは失念して
    しまった。1.20時代だったように思うのだが、確信が持てないので断定は避ける。

 このダメージ表を参考に、冒険者レベル3の冒険者が「薙ぎ倒し」を使用した場合、
 その最大ダメージは11であることがわかる。また、冒険者レベル7の冒険者が「烈梟刃」を
 使用した場合は、その最大ダメージは30であることもわかる。

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 この表から推測した、敵全体用の「炎属性の魔法攻撃スキルカード」のダメージ設定が
 これである。アイテムカード「火晶石(ダメージ20)」はスキルレベル5の呪文に相当するわけだ。
 細かく見ていくと多少数値に誤差は生じるが、おおむねこの辺りだろうと考えられる。

 注釈しておくと、この数値は「敵全体を攻撃」かつ「炎属性」の呪文、
 つまり[炎の玉]の上位互換や下位互換の場合の設定である。

 「交易都市リューン」にある召喚獣カードである[サラマンダー] [ノーム] [気弾]や、
 「賢者の選択」で入手できるスキルレベル7の呪文[風刃乱舞]などを見るに、
 汎用性の高さや低さ、長所と短所などを考慮した上で、強さに偏りが出ないようにダメージも-5、
 あるいは+5といったバランス調整がなされるのだろう。

 もう一点、これは個人的な印象になるが、ダメージ「レベル比1」と「直接入力値5」の2点は
 「交易都市リューン」を見る限り、カードの効果としては実用的ではないように思う。
 おそらく弱すぎるのだろう。

 スキルカードに求められる最低限の強さは「レベル比2」、または「直接入力値10」が
 基本であると考えられる。

 もっとも、召喚獣カード[気弾]のように「全属性:直接入力値10 + 神聖属性:直接入力値5」
 といった具合に「追加効果」として「直接入力値5」という数値の設定はあり得る。

 また「交易都市リューン」のアイテムカード[コカの葉]には「回復:直接入力値5」といった設定も
 見られる。

 つまり「レベル比1」「直接入力値5」という設定は、”してはいけないわけではないが
 効果としては弱い”、おまけ程度のものなのだろう。

 最終的にはスキルカードの取捨選択により、ほとんどの上位互換、下位互換スキルカードは
 消えたようだが、例えば「交易都市リューン」の魔術師(メイジ)とは逆に、スキルレベル3で
 敵全体を攻撃する呪文、スキルレベル7で敵一体を攻撃する呪文を使う別タイプの
 呪文使い(ルーンマスター)が存在しても良いはずだ。

 その際には何かの参考になればよいと思い、この雑談を挟んだ次第である。

  ※ もっとも、この説が正しいという保障はない。それゆえに考察ではなく雑談なのだ。


 ◆ 技能カードと優先順位

 さて「カードバトル」に合わせてスキルカードの取捨選択がなされたわけだが、
 話はまだ終わらない。
 「カードバトル」にスキルカードを組み込むには、まだ考えなければならない問題がある。

 それは「スキルカードの配布率」だ。

 それぞれ代替のきかない強力な効果を持つカード群とはいえ、効果ごとに「使用頻度」は異なる。
 常に手札テーブルにキープしておきたいカード。
 一度使用したら、しばらくは手札に回ってくる必要のないカード。

 遊びやすさを考えた場合、これらがまったく同じ配布率で配られるのは問題だ。
 運の要素が強くなりすぎるため、プレイヤーがストレスを感じやすい。

 これらのスキルカードに”優先順位を付けて、配布率を偏らせる”必要があるのだ。

 アクションカードの場合は「適正」によって配布率を偏らせることができた。
 しかし、スキルカードはプレイヤーが任意でカードのセッティングができるため、
 「適性」では配布率を偏らせることができない。

 適正の良いスキルカードと適正の悪いスキルカードがあったならば、良い方だけを選んで
 持たせたいと思うのが、プレイヤーの素直な感情だろう。
 事実上、スキルカードは「適性」で配布率を変えることはできないのだ。

 では、どういった方法でスキルカード配布率を偏らせるのか。
 CardWirthが取った方法は、いたってシンプルなものだ。

[Road to Iabc 3/5] 交易都市リューン - 優先順位と配布率 2_c0351105_21064117.png


 優先順位の高い黒いカードと優先順位の低い白いカードがあったとしよう。
 黒いカードが手札に回ってくる確率を上げるには、どうすればよいか。

 答えは単純で、山札の中にある黒いカードの枚数を増やせばよい。

 黒が1枚、白が1枚。
 黒が2枚、白が1枚。
 黒が3枚、白が1枚。

 山札の中にある黒いカードが多ければ多いほど、手札に黒いカードが回ってきやすくなるだろう。

  ※ もっとも、これは確率の話でしかない。それでも手札に白いカードが回ってくることは
    当然ある。ここで重要なのは「運の要素を何%混ぜるのか」だ。
    100%運で勝ち負けが決まるゲームでは、プレイヤーはすぐに飽きてしまう。
    かといって、運の要素が0%の理詰めのゲームではプレイヤーはすぐに攻略し切ってしまう。
    長く遊べるゲームは、(割合はともかく)運と実力の両方が求められるケースが多い。

 つまり、プレイヤーにとって優先順位が高いであろうと思われるスキルカードの使用回数を
 増やしたのだ。CardWirthにおいてスキルカードの使用回数というのは、すなわちそのカードの
 残り枚数という意味だ。
 使用回数が3回であるならば、そのスキルカードは山札の中に3枚あるということだ。

 使用回数(残り枚数)。これでスキルカードの配布率を変えたのだ。

 スキルレベルとはカードの強さを表すものではなく、カードの使用回数(残り枚数)によって
 優先順位ごとにスキルカードをグループ分けしたものである。
 スキルレベル1とは、優先順位1位という意味なのだ。

 しかし、ここで新たな問題が出てくる。


 ◆ 「存在しないレベル帯」と、その答え

 使用回数(残り枚数)でスキルカードをいくつかのグループに分けるとして、一体何段階に
 分ければよいのか。
 「適性アイコン」は4段階あるため、スキルカードも4段階に分けた方がわかりやすいはずだ。

  ※ ここでいうわかりやすいとは、CardWirthの製作者とプレイヤーの双方を指す。

[Road to Iabc 3/5] 交易都市リューン - 優先順位と配布率 2_c0351105_00350068.png


 しかし、冒険者レベルが(基本的は)Maxで10あるのに、スキルレベルがMaxで4ではかえって
 ややこしい。冒険者レベルと同じくスキルレベルも10段階に分けて、その実4段階でグループ分け
 する方法はないものか。

 「交易都市リューン」に足しげく通った冒険者なら、わかるはずだ。

 そう、スキルレベルを”間引く”のだ。

 冒険者レベルと同じく、スキルレベルもまたレベル1からレベル10までの10段階に
 分けられている。
 しかし「交易都市リューン」には、スキルレベル1、3、5、7の4段階しか存在しない。
 スキルレベル2、4、6、8、9、10を間引くことで、なかば強引に4段階に分けたのだ。

  ※ もちろんCardWirthエディターではレベル0から999まであり、好きに設定できるのだが。

  ※ 追加シナリオ「教会の妖姫」では、Npc「アルフレート」専用スキルとして
    スキルレベル9の[鷲嘴剣]という技がある。 この話は、また後で少しふれよう。

 スキルレベルが1から始まる理由、すなわち奇数のレベルを残し、偶数のレベルを間引いたのは
 ごく単純な理由だ。

 初めてCardWirthを遊ぶプレイヤーにスキルカードというシステムを理解してもらうためには、
 スキルレベル1から用意するのがスマートだ。
 新規作成された冒険者は冒険者レベル1からスタートするのだから、スキルレベルもレベル1から
 用意してやれば始めてすぐにスキルカードのセッティングおよび、使い勝手を体験できるためである。

 スキルレベルを間引いてあるのには、もうひとつ大きな理由がある。
 むしろ、こちらの方が重要なポイントだ。

 それが、使用回数(残り枚数)のカンスト(カウンターストップ)問題である。

 CardWirthでは、スキルカードの使用回数を計算式によって算出している。

  ※ 昔、そうした話をどこかで読んだ気がするのだが、具体的な計算式が見つからなかった。
    間違っているなら申し訳ないが、このまま話を先に進めることにする。

 ところが、スキルカードの使用回数には上限がもうけられている。
 その最大使用回数は9回であり、冒険者レベルがどれだけ上がろうと、この数値以上には
 ならない。

 優先順位ごとにスキルカードの使用回数(残り枚数)を変えて、カードの配布率を偏らせる上では、
 この”最大使用回数9回”というのが曲者になる。

 もしも「交易都市リューン」のスキルカードが間引かれずに、
 スキルレベル1、2、3、4、5、6、7、8、9、10と10段階あったならば、それぞれの使用回数は
 どうなるのか。表にまとめてみよう。

[Road to Iabc 3/5] 交易都市リューン - 優先順位と配布率 2_c0351105_21065292.png


 冒険者レベル(表ではPC Levelと表記)の上昇とともに、スキルカードの使用回数も9が並び続け、
 低レベル帯のスキルカードの配布率が偏らなくなっていくのが分かってもらえるだろうか。
 冒険者レベル7の場合は、スキルレベル1、2、3、4と半分以上のスキルレベル帯がカンストを
 起こす。冒険者レベル7の手札テーブルのカード枠は7枚なのだから、配布されるスキルカードも
 混線してくるだろう。

  ※ これは冒険者レベル以上のレベル帯のスキルカードは持たせなかった場合の話だ。
    冒険者レベルが7ならば、スキルレベル8以上のカードは持たせないといった具合に。

 スキルカードの配布率は、はっきり偏らせる必要がある。
 優先順位の高いスキルカードを、より高い確率で配布させたいのだから当然である。
 人間の持つ感覚というのはあいまいで、わずか程度の差では違いが感じられないためだ。

 この混線はスキルカードの最大使用回数が9回と少ないために起きる問題だ。
 では、なぜ9回に設定したのか。

 実際のところ、理由は不明ではあるが推測することはできる。
 groupAskが想定していたシナリオ一作のプレイ時間は、10分から20分程度のものだ。
 最大使用回数を20回や30回にしたところで、使い切ることもなくシナリオが終わるだろうと
 考えたのではないだろうか。

 この低レベル帯スキルカードのカンスト問題をきれいに解決するのは難しい。
 しかし、何もしないわけにもいかず、偶数のスキルレベル帯を”間引く”ことによって
 混線を緩和させようと試みたのではないか。

 スキルカードを奇数のレベル帯のみにしぼった場合でも、冒険者レベルの上昇とともに
 低レベル帯のカンスト問題はもちろん起きる。RPGにおけるレベルアップとはインフレしていくもの
 なのだから。とはいえ、それでも間引かなかった場合より幾分かはましになる。

 では、ここで本稿の「第1章の終わり」で行なった質問に答えよう。
 「交易都市リューン」において”存在しないスキルレベル帯”があるのは、なぜか。

 その答えは”プレイアビリティを上げるため”だ。
 プレイヤーがストレスなくゲームを遊べるようにするために、意図的にはぶいたのだ。


 ◆ 第3章の終わり「誰にとっての優先順位なのか」

 ずいぶん長くなったが、ここで第3章を終えようか。

 ところで先ほどから、しきりに”スキルカードの優先順位”という言葉を出してきたわけだが、
 この優先順位とは一体誰にとっての優先順位なのだろうか。

 もちろんプレイヤーから見た場合の使用頻度、もしくは重要度の高さのことなのだが、
 実はもうひとつの視点、視座がある。

 キーワードは”職業倫理”。


 ――というところで、次回に続く!



[Road to Iabc 3/5] 交易都市リューン - 優先順位と配布率 2_c0351105_21070343.png
by route87highscore | 2022-04-04 22:08 | テーマ from | Comments(0)


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